『僕が死ぬだけの百物語』23話「メリーゴーランド」では、娘を事故で亡くした父親に起こった不思議な出来事が描かれます。
娘のカナエを失ってから5年後、父が訪れたのは、すでに使われなくなったメリーゴーランドでした。
そこで父は亡くなったはずのカナエと再会しますが、彼女は父にその場から出ていくよう訴えます。
幽霊が登場する怪談でありながら、今回強く感じたのは恐怖ではありません。亡くなったあとも父を思う娘と、娘を忘れられなかった父による、悲しい親子の愛の物語でした。
【僕が死ぬだけの百物語】23話のネタバレ

まずはじめに【僕が死ぬだけの百物語】23話のネタバレ!をご紹介します。
プロローグ
22話でひどい目にあった様子のユウマくん。
お腹からは空腹を知らせるような音が鳴り、腕には痛々しいアザも目立っています。
ユウマくんの家庭で何かが起こっていることを感じさせるなか、23個目の話を語り始めます。
第23夜 メリーゴーランド
遊園地で起きたカナエの事故
父と娘のカナエは、遊園地へ遊びに来ていました。
しかし、カナエは稼働しているメリーゴーランドの中へ入ってしまいます。
そこで足を滑らせて頭を打ち、カナエは帰らぬ人となりました。
娘を失った父は悲しみから酒に溺れるようになります。
そんな父に母も愛想を尽かし、やがて家を出ていきました。
5年後にメリーゴーランドを訪れる父
カナエの事故から5年。
事故が起きたメリーゴーランドは、すでに使われなくなっていました。
父はそんなメリーゴーランドを訪れ、カナエのために花を供えます。
ところが、父がメリーゴーランドの中へ入ると、かつて流れていた音楽が聞こえてきました。
さらに、動くはずのないメリーゴーランドまで回転を始めます。
メリーゴーランドに現れたカナエ
動き始めたメリーゴーランドを見ていた父は、馬の影にカナエらしき姿を見つけます。
5年ぶりに現れた娘に対して、父はここへ来るのが遅くなったことを伝えます。
しかし、カナエは父との再会を喜ぶのではなく、その場から出ていくよう訴えました。
さらに周囲の馬までもが父のほうを向き、まるでカナエと一緒になって父を追い出そうとしているかのようです。
父が脱出するとメリーゴーランドが倒壊
異様な光景に恐怖を感じた父は、メリーゴーランドから出ようとします。
途中でつまずいて転んでしまいますが、父がその場から脱出すると、古くなったメリーゴーランドはそのまま倒壊しました。
そこへ係員が現れ、立ち入り禁止の場所へ入った父を叱ります。
しかし、父には係員の話もほとんど入ってきません。
カナエは父を怒って追い出したのではなく、倒壊するメリーゴーランドから父を救おうとしていたのでしょうか。
こうして23個目の話は終わります。
エピローグ
ユウマくんが話を終えたころ、部屋の外ではひとりの女性が話を盗み聞きしていました。
ユウマくんが女性に謝ると、女性は恐怖の叫び声をあげます。
さらにユウマくんが謝罪を重ねると、女性は半狂乱になってその場から去ってしまいました。
そしてユウマくんの父に対して、ユウマくんがおかしいと叫び散らします。
何もしていないユウマくんに対する女性の異常なまでの恐怖を残し、23話は終わります。
【僕が死ぬだけの百物語】23話の感想と考察

ここからは【僕が死ぬだけの百物語】23話の感想と考察をご紹介します。
怖い話ではなく死後も続く親子の愛?
今回の「メリーゴーランド」は、個人的には怖い話というよりも悲しい愛の話に感じました。
カナエは幽霊として登場するものの、父に危害を加えようとはしていません。
むしろメリーゴーランドが倒壊する直前、必死になって父をその場から追い出しています。
父からすれば、突然現れたカナエや自分を見つめる馬たちは恐ろしい存在だったでしょう。
しかし結果だけを見ると、カナエの行動によって父は倒壊に巻き込まれずに済みました。
不幸な事故によって命を落としてもなお、カナエは父のことを思っていたのではないでしょうか。
一方の父も、娘の死から立ち直り、事故現場を訪れるまでに5年もの時間を必要としました。
お互いを思う気持ちだけが死によって途切れなかったと考えると、恐ろしい怪談というより、非常に悲しい親子の物語だったように思います。
カナエの死によって壊れてしまった家族
カナエを失って悲しかったのは、父だけではなかったはずです。
父は酒に溺れ、やがて母は家を出ていきました。
母が父に愛想を尽かしたことは描かれていますが、母自身も娘を失った当事者です。
カナエを失った悲しみを抱えるなかで、さらに夫が酒に溺れていく状況に耐えられなくなった可能性も考えられます。
カナエの事故によって失われたものは、彼女の命だけではありません。
それまで存在していた父・母・娘という家族の形にも、事故をきっかけに終止符が打たれてしまいました。
カナエはメリーゴーランドに取り憑いていた?
気になるのは、カナエとメリーゴーランドの関係です。
事故から5年が経過しているにもかかわらず、カナエは自分が亡くなったメリーゴーランドに現れました。
さらに、動かないはずのメリーゴーランドを動かしただけでなく、周囲の馬まで父のほうを向いています。
これらがカナエによるものだとすれば、彼女はメリーゴーランドとかなり強く結びついていたのかもしれません。
事故現場に残り続ける地縛霊のような存在になっていた可能性もあります。
ただ、5年間ずっとメリーゴーランドにいたとは限りません。
もしかするとカナエは父のそばにいて、父がメリーゴーランドを訪れたことで初めて姿を現したとも考えられます。
メリーゴーランドの倒壊でカナエは成仏したのか
もうひとつ気になるのが、最後にメリーゴーランドそのものが倒壊したことです。
もしカナエが亡くなった場所に縛られていたのであれば、倒壊によって彼女が留まり続けていた場所そのものがなくなったことになります。
これをきっかけにカナエが成仏した可能性もあるのでしょうか。
あるいは、5年ぶりに父と再会し、最後に父の命を救ったことで、カナエにとって何らかの区切りがついたとも考えられます。
作中ではその後のカナエについて描かれていないため、実際に成仏したかどうかは分かりません。
ただ、メリーゴーランドの倒壊によってカナエのいた場所まで失われたことには、ひとつの物語が終わったような寂しさを感じました。
ユウマくんの家庭環境がさらに不穏に
本編とは別に気になったのが、ユウマくんの家庭環境です。
今回のユウマくんは空腹を感じている様子で、腕には痛々しいアザまで残っています。
食事を十分に与えられていない可能性や、家庭内で何かが起きていることを疑わせる描写です。
さらに気になるのが、部屋の外で話を聞いていた女性の反応でした。
ユウマくん自身は女性に謝っているだけですが、女性は叫び声をあげ、半狂乱になってユウマくんの父のもとへ向かいます。
女性からすれば、ユウマくんは明らかに普通ではない何かとして見えているようです。
しかし、読者から見たユウマくんは百物語を続けているだけで、今回も女性に対して何か危害を加えたわけではありません。
ユウマくん自身に何が起きているのかだけでなく、周囲の大人たちがなぜここまでユウマくんを異質な存在として扱うのかも気になります。
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この記事のまとめ

以上、【僕が死ぬだけの百物語】23話のネタバレと感想!メリーゴーランドに残された親子の愛という記事でした。
今回の記事をまとめると次のとおりです。
・カナエは遊園地のメリーゴーランドで事故に遭い、命を落とした
・事故から5年後、父がメリーゴーランドを訪れるとカナエが姿を現した
・カナエは倒壊するメリーゴーランドから父を救おうとした可能性がある
・カナエとメリーゴーランドには強い結びつきがあったのかもしれない
・ユウマくんのアザや空腹、女性の反応から家庭の不穏さがさらに強まった
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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