SNSで紹介されていた作品、【コワい話は≠くだけで。】を今回は読了したので、考察と感想をご紹介します。
ホラーが苦手な漫画家が挑む、漫画作品とは一体どんな内容なのでしょうか?
それでは【コワい話は≠くだけで。】のネタバレ考察と感想!除霊が目的の漫画について迫っていきます。
【コワい話は≠くだけで。】について

まず最初に【コワい話は≠くだけで。】とはどんな作品かご紹介します。
作品名:コワい話は≠くだけで。
原作:梨
漫画:景山五月
出版社:BRIDGE COMICS(KADOKAWA)
既刊:3巻(完結済み)
すでに完結済みの作品でサクッと読める内容のため、もし気になった方はぜひ原作もチェックしてみてください。
おすすめの電子書籍サービスや比較情報については以下の記事にまとめています。
作品の概要

普段は雑誌やポータルサイトで漫画を描いている作者は、担当編集から苦手な「ホラー」「怪談」というジャンルをテーマに漫画を描くことになりました。
様々な方の話を、オムニバス形式で掲載している作品です。
しかし作者の身には徐々におかしなことがことが起こり始め、物語は最終話へと向かいます。
各話一覧
全話のサブタイトルと簡単なあらすじを乗せていきます。
第1話 補完
怖さ度:☆☆☆
大学進学を機に引っ越すことになり、健人さんは引っ越し準備の最中、見知らぬ手紙を見つけ、差出人には『ふなべかずこ』という知らない女性の名前があり…

作品の1話目というのは、割とインパクトの強い作品を出して、反応を見ていくようなイメージがあります。
しかしこの作品はインパクトというか1話目から不穏な感じなんです。
第2話 丿乀(へつほつ)
怖さ度:☆☆☆☆☆
まだライブ配信が今ほどメジャーじゃない頃、とある配信者は心霊スポット凸配信を音声で開始した。そこは配信者の家のようで…



自宅が事故物件や心霊スポットだったとしても、配信して紹介する意図ってなんだったのでしょうか…
作者の後書き漫画も怖すぎました。
第3話 閑静
怖さ度:☆☆☆☆☆
友人の家出先は「そこにないはずの家」。家人はおらず、そこにあったのは仏壇と友人の遺影だった。



知らない家に入ったら、自分の遺影が仏壇にあるなんてヤバすぎませんか?
友人が迎えに行ったら、家自体がないことも怖さしかありません。
第4話 蝉蛻(せんぜい)
怖さ度:☆☆☆
駅で片耳だけのBluetoothイヤフォンを拾った葉山さん。イヤフォンからは蝉の鳴き声が聞こえ、会社員の格好をした男性が近づいてきて…



蝉の声がいつでも再生できるように、スマホにダウンロードしている男性が怖いです。
今のスマホは分かりませんが、確か蝉の声とか鈴虫の声って、電話では拾えない音域のはずだったような…
第5話 培養
怖さ度:☆☆☆☆☆
とある家にまつわる実際にあった話は、不気味な噂もあり、高校生の深夜の肝試しに使われた。そこで少年たちが見たものは…



心霊写真の部分をくり抜いて、水分に浸すっていう行為がもう意味がわかりません。
どこからか聞こえた培養しているっていう言葉も、培養って何?培養してどうするの?という意味不明さが怖いです。
第6話 箱庭
怖さ度:☆☆
ネット上で愚痴や相談などの、話し相手になるバイトを始めた美佳さんは、とある相談者から家のシミについて相談されて…
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後々繋がってくる部分はありますが、怖さ自体は割と控えめな気がします。
対処方法もあるし、そこまで怖い話じゃないような…とはいえ体験したくはないですね。
第7話 愛情
怖さ度:☆☆☆
江原さんは小学校の宿題で、祖父母の子供の頃の話を聞く宿題を出された。祖母は子供の頃の話を始め、入ってはいけない山の話を始めます。



山に数メートルの人間がいるのも怖いですが、それが複数体、目も複数、1つの手に指が20本近くあるとか、トラウマになりそうです。
昔話として聞いているので、そこまで怖くないかもしれませんが、山が身近な私には遭いたくないお化けですね。
第8話 人形(ひんな)
怖さ度:☆☆☆☆
けんちゃんという少年の話で、彼のお道具箱の中には、タオルか何かでできた手作りの人形が入っていた。それは「ひとみさん」とけんちゃんは説明し…



子供ゆえの純粋さというのか、人形を拾って持って帰るって恐ろしいですね。
何かで読みましたが、名前をつけるのもNGと聞きますし、けんちゃんは全部やっているような…
第9話 成立(なりたち)
怖さ度:☆☆
とある大学の映画同好会の自主制作映画は途中で欠けている内容だったが、それは不気味なものの成り立ちを説明している動画で…



もしこんな映画同好会があったら絶対に入りたくないですね。
全体的に不気味で、なんでこんな動画を作ったのか..
第10話 訂正
怖さ度:☆☆☆☆☆
各家庭にファックスが多かった頃。その家ではある時期からファックスを使わなくなり、そのきっかけはある間違いファックスだった。



今では全く見なくなったファックスですが、この話は怖すぎます。
そもそもなんでファックスをリアルタイムで送れるんでしょうか…
第11話 余聞(よぶん)
怖さ度:☆
採用を見送った短い話を1話で複数紹介。
どれも短い話で一見すると怪談ではないようなお話も…



怖さはマイルドですが、短いからこその味があるお話でした。
第12話 磁石
怖さ度:☆☆☆☆
大学時代、真奈美さんはホストにハマっていて、担当ホストとケンカをしたが、SNSの監視を惰性で続けていると、不思議なことに気が付き…



呪い系のバイトも怖いですが、その結果も怖いお話です。
そもそも一番怖いのは真奈美さんという気がします。
第13話 牴牾(ていご/もどき)
怖さ度:☆☆☆
転校の多かった悠真さんは、新たな友人 晴翔さんと共に「ナカノさん」の噂を確かめに、放課後に公民館に行くことに…



どことなく学校の七不思議を感じるお話ですが、子供の頃ってこういう正体がわからない怪談って流行りましたよね?
でもほとんどの子供の頃の怪談は、正体がないからこそ思い出になりますが、このお話はトラウマになりそうです。
第14話 末路
怖さ度:☆☆☆☆☆
皐月さんはライブ遠征などで、漫画喫茶をよく利用していた。ある夜、夜中に目が覚めると、隣のブースで女性が何か話していて…



漫画に出会うために漫画喫茶をよく利用している私からすると、洒落にならないお話です。
ランダムに出会う怪異はタチが悪いから、交通事故みたいなものって怪談師さんが言っていましたが、洒落になりません。
第15話 交換
怖さ度:☆☆
怜さんはアイドルグループを推していて、限定チェキの交換のためにSNSを巡回していた。そこには男性の写真があり…



SNSというのは現代の魔窟みたいなものだと思っているので、こういう怪異は困りますね。
もし実際に交換に応じていたらどうなるのかも気になります。
第16話 処理
怖さ度:☆☆☆
ホラー漫画を描くことに疲れた作者は、地元に戻り旧友とばったり再開した。旧友の記憶では作者はホラーは苦手ではなく好きだったようで…



自分の記憶にないことを他人から聞くことは私もたまにありますが、どことなく怖いですよね。
他人から見た印象も含めて聞いてしまうので、景山先生の気持ちがわかる気がします。
第17話 山童(やまわろ)
怖さ度:☆☆☆
投稿者は「山童」という話を大学の友人に話すと、友人は「ワッカモン」という伝承について話し出します。二つ共通点は…



山や海は昔から畏れの象徴なのか、怖い話にことかきませんね。
ワッカモンにもし出会ってしまったら、腰を抜かしてしまいそうです、
番外編
怖さ度:☆☆
M県にあったデパートには、閉館時間に「蛍の光」が流れていた。しかしある日だけまったく違う音声が放送されたのだとか…



こういう日常の中に怖い話が出てくるのは、割と怖いですよね。
第18話 転嫁
怖さ度:☆☆☆
怪談のネタ探しのため、出版社の曰く付きグッズから選定した作者は、とあるPCゲームを選定して、そのゲームの曰くを読み始めます。



昔のゲーム屋とか百均って、作者不明のよくわからないゲームが確かにありました。
安いからと手を出したらとんでもない目に遭ったのかもしれませんね。
第19話 結果
怖さ度:☆☆
応募していた怖い話の中から3つの怖い話を漫画化。



3つ目の話が個人的にはよかったです。
鬼門の方向に家があって、時間がたった現在どうなっているのか知りたいです。
第20話 運転
怖さ度:☆☆☆☆
怪談のための現地取材に行くことになり、郊外の廃バスにたどり着いた作者は、動画を撮影しながらバスに乗り込む。



事前情報なしで怪談を即興で語る会とかにも、似たような怪談がありました。
その場所ではみんなが同じ怪談をするってテイストのお話でしたが、これは場所に関係しているのでしょうか?
第21話 匿名
怖さ度:☆☆☆☆☆
webメディアのライターからのインタビューを受ける作者。作者は再び「ふなべかずこ」の名前に遭遇することに…



「ふなべかずこ」の謎は分かりませんでしたが、なんで景山先生は「ふなべかずこ」の名前を隠さなかったのでしょうか?
第22話 集合
怖さ度:☆☆☆
過去の漫画のシーンを繋ぎ合わせたお話。文章としては読めるが、どこか不気味で一体何を伝えようとしているのか…



最終回に向けた始まりのようでしたが、作者が壊れていってしまったのではないかと不安になりました。
第23話 解説
怖さ度:☆☆
作者の景山とデフォルメされた景山が、まるで自問自答のような会話をし、さらには作者に語りかけてきて…



この作品の意味に迫るようなお話でした。
そもそもどういう意図があったのかなど明かされますが、いろんな点が線になる感覚があって、怖さより「あ〜!そういうこと!」って感覚が強いです。
最終話 川走(せんそう)
怖さ度:☆
デフォルメされた作者が登場し、まるでエッセイ漫画のようなお話を始める。ただの散歩風景の漫画かと思いきや…



最終回!ここまで読んで初めてこの作品の素晴らしさが幕を閉じます。
何度も読んでますが、最初の読後感は素晴らしかったです。
【コワい話は≠くだけで。】の考察


ここからは私が作品を読んで感じたことや考えついたことをまとめていきます。
除霊のための漫画作品?
24話で、この作品は除霊のための企画と、作者の景山先生は語っています。
そして自身の作品を幽霊画…幽霊を絵の中に閉じ込めた作品として作ったそうです。
そしてその方法は第1話から第23話へと時系列へ進む中、24話はその続きではありますが、その先につながるのは第1話の冒頭でした。
物語をループさせることで、閉じ込めたということでしょうか。
改めて第1話を読むと、景山先生の後ろの扉が開いていて、24話ではデフォルメされた景山先生がその様子を眺めています。
ただの怪談漫画ではなく、ループする怪談漫画ということみたいですね。
ふなべかずこの謎
結局のところ、この作品が封じ込めたかったものは「ふなべかずこ」だったのか、それとも登場したすべての霊や怪異を封じ込めたかったのでしょうか?
2年ほど連載されていた作品だったということで、それだけの期間をかけて行なった、壮大な儀式のようなに私は感じました。
「ふなべかずこ」はもしかすると、けんちゃんという少年が人形に名前をつけられ、その後に成長したのは健人さんという可能性はないでしょうか?
さらに第1話の手紙にあった「なれました」という一文。
これは「ふなべかずこ」になれた。ということなのかもしれません。
全体的に西日本の話が多い?
全話を読んで思うのですが、近畿地方や九州、中国地方など、全体的に西日本にまつわるお話が多いように思います。
集計してみたところ、結果は次のとおりです。
- 近畿地方:1話3話5話(滋賀県西部)15話
- 九州地方:6話17話
- 東北地方:7話
- 中国地方:14話
- M県(宮城、宮崎、三重):番外編
≠(ノットイコール)の意味
この作品タイトルはなぜ「怖い話は聞くだけ」ではないのかですが、すでにいくつかの考察で述べています。
【コワい話は≠くだけで。】はデフォルメ景山先生が言っていた、怖いものを漫画作品に集めて、一つの場所に押し込めて、作中の景山先生に厄を押し付け、物語がループすることでお祓いが完了しているようです。
なので正確には『怖い話は聞くだけではない』作品という意味のようですね。
どこかがリンクしている怪談
すでに作品を読んでいる人ならお気づきかもしれませんが、作中ではオムニバス形式で怖い話を描かれていますが、複数の繋がりがありました。
私が作中で確認したものをまとめていました。
作者の名前の別名がリンクしている?
第14話で登場した皐月さんですが、これは現在の暦では5月のことで、口元に2つのホクロがあります。
作者の景山五月先生は目元にホクロがあり、少しクセのある髪型などがさつきさんと先生で瓜二つのように見えないでしょうか?
つぎに17話に登場するありのみさんと原作者の梨先生ですが、ありのみは梨の別名です。
このことから実は14話と17話は作者の2人の話の可能性がありそうです。
ヒトミさんとナカノさん
ちょっとこれは無理矢理の考察かもしれません。
8話のひとみさん「人形」の「开」の字を読まずに「ひとミさん」と、次は13話のコックリさんで狐のお化けを呼び出そうとした際に、自由帳に書いた鳥居です。
どことなく繋がりを感じます。
さらに7話に登場する、山女ともどことなくシルエットが似ている気がしました。
箱庭とかなみちゃんとkanami rotten
6話で登場したミニチュアの家の人形が溶ける話ですが、14話に登場するかなみちゃんが溶けたと叫ぶ女性の話に溶けたという部分が共通しています。
さらに11話に登場するkanami_rotten.gca」ですが、ここでも「かなみ」という名前が登場し、「rotten」は「腐った」という意味になるのでリンクしている可能性がありそうです。
特定の場所は同じ場所?
3話で登場した家ですが、そこは空き地になっていましたが、その後の4話ではとある平家の話になりました。
その家は現在公園になっているようですが、公園といえば8話の人形に繋がりそうです。
そして虫が湧きやすいという話も、4話のイヤホンを落とした男性の話と一致します。
虫が湧く=悪いことをしていた可能性がるということなのでしょうか?
とある一家が宗教の集まりに足を運び、夜逃げをした後に売り家になり、買い手がつかず更地にした後、公園にしたのかという勝手な想像をしてしまいます。
健人さんとけんちゃん
第1話に登場した健人さんと、第8話に登場したけんちゃんも名前が似通っていますよね?
もしかしたら彼らは同一人物の可能性もありそうです。
そして「ふなべかずこ」という名前も共通していることなどから、どうしても関連しているのではと考えてしまいます。
人形も成長しているという話でしたし、繋がりは深そうです。
CDと廃バス
とある怪談イベントがなくなったことで、景山先生を心霊スポットの廃バスまで、連れて行くことになった山本さん。
これは作中でもわかりやすく繋がりが描かれていましたが、彼女が言っていたお互いが大変というのも、何か裏の意図を感じてしまいますね。
心霊写真の培養の謎
第5話の心霊写真の培養と、第10話のFAXの話も同じような心霊写真が登場します。
中年の男性の声というのも、13話に登場する男性との類似点を感じるのですが、これはちょっとこじつけかもしれませんね。
この記事のまとめ


以上、【コワい話は≠くだけで。】のネタバレ考察と感想!除霊が目的の漫画とは?という記事でした。
今回の記事をまとめると以下になります。
- 除霊が目的の漫画?
- 実話怪談風漫画作品
- 複数のリンクが作中に見られる
- 「ふなべかずこ」はなぞのまま
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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